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1対0で9回を迎えました。マウンドに立った。どうしたのか、突然スランプが襲ったのでしょうか。いくら投げてもストライクが入らないのです。3人歩かせてしまいました。満塁です。もう1人歩かせると同点。もう1人歩かせると2対1で負けになる。もうぎりぎりの場面を迎えたときに、監督がつかつかマウンドに来て、ピッチャーに何か言ったのです。
そうしたら、どうしてかピッチャーは立ち直って、次の3人を、3人とも3球で討ち取って勝ったのです。新聞記者がピッチャーに「監督に何を言われたのですか?」と聞くと、こう答えました。「たかが野球じゃないか、とひと言言って帰りましたよ」。これで解放されたのでしょうか。自分を取り戻したというのです。
ある精神病院で、一人の患者が「自殺する」と言ってわめき出して、高い窓の上に上りました。飛び降りると言うのです。医師も看護婦もワーカーも、みんなあわてて、ともかく下りて来い、話を聞こうとか、いろいろ呼びかけたのですが、いくら言ってもますますわめきたてて下りてくる気配がない。諦めて、隣の部屋に引っ込んで、しばらく様子を見ようということになりました。そこに掃除のおばさんがバケツとモップを持って入ってきて、その患者の下に行って、何か言葉をかけたのです。そうしたら、その患者がすごすごと下りてきて、おばさんのあとをついて部屋を出ていった。
みんなびっくりした、おばさんに「何て言ったんだ?」と聞いたら、「そろそろお茶にしようや」(笑い)。
この余裕を失うのです。きんさん、ぎんさん、久し振りにきょう新聞に出てきました。103歳でまだご健在ですね。きんさん、ぎんさんと新聞記者とのやりとりです。「いまテレビに出たり旅行したりしてたくさんお金をもらっているでしょ」「もらっているよ」「その収入どうなさるんですか?」。そうしたら「老後に備えているんだよ」(笑い)。素晴らしい答えですねえ。ゆとりとい

 

 

 

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